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宇宙世紀と人口

  • 2024年7月12日

人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって既に半世紀が過ぎていた。
地球の周りの巨大な人口都市は人類の第2の故郷となり,人々はそこで子を産み,育て,そして死んでいった。

宇宙世紀0079。
地球から最も遠い宇宙都市,サイド3は ジオン公国を名乗り,地球連邦政府に独立戦争を挑んできた。
この一ヶ月あまりの戦いでジオン公国と連邦軍は,総人口の半分を死に至らしめた。
人々は 自らの行為に恐怖した。

一定世代以上の人達には馴染みのあるこのセリフ、
そう、ガンダム(ファースト)の冒頭に流れるナレーションですね。

永井一郎さんの渋い声で語られるこのセリフは、
アニメという架空の物語をリアルな話として感じさせるに充分でした。

ちなみに、
「ガンダムのナレーションの人、チェリーと同じ人なんだぜ」
と教えてくれた小学生時代の友人、
お前のせいでナレーションがチェリーの声にしか聞こえなくなったじゃねえか(笑)

それはさておき、
このナレーションが語る通り、ガンダムの世界は「増えすぎた人口を〜」
の部分が示す通り、人口が増えるというのが前提の話なんですね。

人口が増えすぎて地球に住めなくなるから、スペースコロニーを作ってそこに全人類を移住させるという施策を行ったわけですね。

ただ、その施策を行った当の人達(地球連邦)は結局宇宙に移住せずに地球に残ったまま。さらに宇宙へ移民した人達を弾圧し、やがてスペースコロニーの人達が独立運動を起こすに至ります。

ファーストガンダムが放送された80年代、もしくは富野御大の構想時でいうと70年代でしょうか。
その当時においては、“人口が増えすぎてやかて深刻な状況になる”という
世界線がリアルさを持っていたのでしょう。

では実際はどうかというと、人口は増え続けています。
50年前には40億人だった人口は、現在80億人。50年で2倍になっています。
国連の予測によると、世界の人口は2086年に104億人でピークを迎え、
そこから緩やかに減少していくようです。

ちなみにファーストの設定上の人口は110〜120億人だそうです。
そのうち100億人強が宇宙のスペースコロニーに済み、
残りの20億人が地球に住んでいる設定です。
この20億人というのは1930年代の人口に相当します。
そう考えると設定上の話とはいえ、実際の人口と不思議な符合を感じます。

以前に想定されたことが実際には違った状況になるのはよくあることですが、そのギャップもまた、時間の流れを感じさせるよい部材になる気がします。