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「ファネル構造モデルの破綻」で思うこと

  • 2024年6月12日
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去る3月15日の、マーケティング系の媒体である「MarkeZine」にて、「ファネル構造モデルの破綻(https://markezine.jp/article/detail/45104)」という記事が掲載されました。デジタル系の広告代理店である「デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム」の創業者で、ブログ「業界人間ベム」の著者でもある横山隆治氏が記した記事で、彼の新著書である「2030年の広告ビジネス」の補足的な記事になります。
また、「2030年の広告ビジネス」の中でも、第4章の「マーケティングはどう変わるか?」の項の一つとして、「マーケティングファネルは通用しない」として取り上げられています。

さて、今回は記事「ファネル構造モデルの崩壊」の個人的に思うところを記していきたいと思います。

■「ファネル構造モデルの破綻」とは

まず、「ファネル構造モデルの破綻(https://markezine.jp/article/detail/45104)」の要約になります。

https://markezine.jp/article/detail/45104より引用

この記事は、従来の「ファネル構造モデル」の破綻について議論しています。ファネル構造モデルは、認知(Awareness)から購買(Purchase)までの消費者の行動を漏斗に例えたもので、AIDMA理論に基づいています。しかし、この記事では、このモデルが現代のマーケティングに適さなくなった理由を3つ挙げています。

1.ファネルから脱落した人が買わないわけではない:
消費者が商品を認知していなくても、購入するケースがあることが指摘されています。実際、店頭で初めて商品を見て購入することも多く、認知から購買までの一連のプロセスを経ない場合も少なくありません 。

2.ミドルファネルにからむ様々な消費者心理:
購買プロセスの中間段階(ミドルファネル)には多様な消費者心理が存在し、一概に説明するのは困難です。消費者の購買意思は、パーセプション(知覚)の組み合わせによって形成され、固定的なプロセスではないとしています。

3.SNS時代のマーケティング思考:
SNSの普及により、消費者が商品の認知に至るパターンが多様化しています。SNSでのシェアや口コミが購買に与える影響は、従来のマスメディアによる認知とは異なります。ファネルモデルはこれらの複雑なパターンを適切に表現できないため、現代のマーケティングには不適切であると述べています。

結論として、ファネル構造モデルは現在の消費者行動の多様性を説明するには不十分であり、マーケターは自社ブランドの特性に応じた柔軟なアプローチを取るべきであると提案しています。

まずは、「ファネルから脱落した人が買わないわけではない」ことは、今に始まったことではないと思いますが、改めてここで書いたのは2〜3の影響で、こぼれ落ちる消費者が増えたからだと思いますし、今までは、こぼれ落ちた人に対してのファネルというのも考えられたが、今の時代は難しいのはではないかと考えられている様です。

「ミドルファネルにからむ様々な消費者心理」、「SNS時代のマーケティング思考」に関しては、情報を伝えるメディアの中心がマスからWeb、WebからSNSになり、消費者が多様性を持つ様になり、購買プロセスの中間段階(ミドルファネル)が複雑化、固定化できなくなったと考えられている様です。

そこで新たな提案は著書である「2030年の広告ビジネス」の中で語られています。
ファネル構造を双六と例え、新たな考え方として、ビンゴカード的な考え方を提案されています。
4つの類型(ヒト・モノ軸xパーソナル・世間軸)からなる、オーディエンス型、トラスト型、ナレッジ型、ディスカバリー型の大枠で4種類のコミュニケーションターゲットのビンゴカードを設計するという考え方になります。

■本当に「ファネル構造モデル」は崩壊したのか?

単純にマス中心からWeb中心になって、AIDMAのAttentionの箇所が増えて、ファネルが細分化されたと考えられますが、こちらに関しては皆さんは細分化はすでに考えていらしゃるのではないかと思います。
私自身、マーケティングに関わる様になったのはまだまだマスメディアの影響が絶大的な時代でしたが、一つのファネルで解決するとは考えていませんでした。
ただ、複数のファネルで考えると言っても、ファネルのパイの大きさはそれぞれあって、ファネルのパイの大きさによって注力具合でコントロールしていたのが、ファネルのパイの大きさに差がなくなってきたと考えるとちょっと面倒かもしれません。

購買プロセスの中間段階(ミドルファネル)が複雑化、固定化もSNSという不確定要素が影響し、ファネルから脱落することも増えるのも納得ですね。

そこでビンゴカードの考え方となるのですが、ビンゴカード毎にファネルが存在するのではないかなと私は考えますし、ビンゴカードは各階層毎で新たに配られるのではないかと考えます。

これらのことを踏まえて、図に表すを下記の様になるのではと思います。

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大きなファネルが細分化、多層化し、小さなファネルの集合体になるが、それぞれを整理することにより、大きなファネルになるのではないかと考えます。そして、小さなファネルをどう進ませるかをコントロールするのがマーケティングになるのかなと思います。

。。。ということを考えると、考え方の粒度やアプローチは変わるかもしれませんが、ファネルという基本的な構造は変わらないのかなというのが、現時点での私の考えです。ただ、将来的にはファネル構造モデルで追いきれないくらい粒度が細かくなる日は来ると思います。その時にビンゴ的な考え方なのか、また新たな構造が出てくるんじゃないでしょうか。

皆さんはどのように考えられるでしょうか?先行きが不透明なVUCA時代、改めて、情報と状況を適切に読むことが重要になると思います。