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議事録の功罪

  • 2022年10月21日

仕事をしているとどうしても遭遇する”会議”という時間。
「自分以外の思考からくる相乗効果や化学反応によって、
一人では出せなかったアウトプットができる」
というのは理想で、
実際は報告文章のただの読み上げだったりとか、
参加すること自体が仕事になっていたりとか、
必ずしも生産性が高い時間とは言えないことが多いですね。

ちょっと前の言葉になってしまいましたが、
”働き方改革”と言う議題の場合には必ずと言っていいほど、
「会議」が削減対象の筆頭として槍玉に挙げられます。

そんな非生産的と言われている会議に追い討ちをかけるようなものが
「議事録」です。
”会議でのやり取りや決定事項を文章化して残す”
目的としては非常に有用なものです。

が、この議事録には非常にコストが掛かります。
どういうことかと言うと、
まず議事録に求められるものってなんでしょう?と考えた時に、
・正確性
・網羅性
・指向性
と大きく3つの項目が挙げられます。

正確性については、当然ながら不正確な内容を議事録に載せたらダメですよね。
例えば、「〇〇の件についてOK」という発言が、議事録では「NG」と記載されていたら、
それはまずいでしょう。
続いて網羅性です。
先ほどの「〇〇の件についてOK」という発言の後に、実は、
「ただし△△を除く」という発言があったとしたらどうでしょうか?
その部分が議事録から抜け落ちてたら、決定事項の内容が変わってきます。

では、発言を記載するか省くかといった判断は誰がどのようにして行うのでしょう。
多くのケースは議事録の作成者が、自らの判断で行います。
会議の決定事項が満場一致ならいいですが、複数の思惑が絡み合う内容であれば
どの発言を採用するか削るかで、印象づけとして会議の結果を左右することもできます。

それを防ぐためには誰もが納得する言葉の取捨選択を行うか、
すべての発言を記載するかのどちらかになります。
前者は理想的ですが、とても難しいことは想像できますし、相応のスキルが必要でしょう。
誰でもできることではありません。

では後者の場合。
発言をすべて記載すれば内容のブレはなくなります。
でもそれ、文字起こしする必要ある?って話にもなりますね。
会議を録音するか、録音したデータをツールなどで自動で文字起こしすればいいじゃん
ってことになります。
この場合、人がやる作業としては勿体無いですね。

最後に指向性です。
これは会議で決まった全体の方向性を、表現する必要があります。
例えば”概ねOK”ということを伝えることも必要で、
細かい決定事項ばかり羅列をしても、会議全体の方向性みたいなものが
伝わらない場合があります。
そしてその「結局全体としてどうなの?」というクエスチョンは、
議事録を見た上長などが、最も知りたい内容だったりします。

ということで、議事録というのは非常にコストがかかります。
そのコストに見合うだけの重要性を議事録に見出すのなら残すべきでしょう。
しかし、会議のたびに盲目的に垂れ流すだけの議事録であれば、
意味のない会議以上に非生産的なものであるかもしれません。