Share

利用規約と使用許諾

  • 2022年6月17日

普段、いろんなサービスやアプリの利用を開始する際、
必ず目にするものがあります。

それは「利用規約」です。

「あーはいはい、承諾、次へ次へ、ポチポチ」なんて、
クリックの準備運動にしている人はいませんか?
だめですよ、ちゃんと読んで理解しないと(→自分)

さて、改めてこの”利用規約”って何でしょう?
どうせ読まないし、読まなくても操作やサービスは受けれるし、
無くてもいいんじゃね?

なんて思ってませんか?
今回はこの利用規約について考えてみましょう。

まず、この利用規約というもの、法的に掲載義務はありません。
なので思っている通り、”なくてもいいんじゃね?”
というのは半分当たりです(笑)

でもこれを必要としている人がいます。
それはサービスやアプリの提供者です。

そもそも利用規約の位置づけですが、
「提供者が利用者に向けたサービス利用のルール」というものになります。

ではそのルールの中身はどんな事が書いてあるのでしょうか。
一般的には、
・提供サービスの内容
・料金や支払い方法
・禁止事項
・損害などに対する免責事項
・権利の帰属
・利用規約の変更

などでしょうか。
平たく言えば、
「こういう感じに使ってね、変な風に使ってどうにかなっても知りませんよ」
という内容になります。

そして「このルールを読んで納得したら使ってね」
と提示した使用ルールに対して”合意”をとり、使ってもらう。

不幸にもサービスを利用してなにかトラブルが発生してしまった場合、
この事前に提示したルールに照らし合わせ、
ルールに定められた範囲内であればサービス提供者に責任が発生しますし、
ルール上で担保しないとしているもの、もしくは禁止事項などに抵触していた場合は
利用者の責任になります。

じゃあ、もしこの利用規約がなかった場合はどうなるのでしょうか?
その場合のジャッジは民法に委ねられます。
民法に則ってその責任範囲が問われるわけですが、
この場合、サービス提供者側に過失があると判断される場合が多く、
その賠償範囲も大きくなってしまいます。

例えば飛行機の予約サイトに不具合があって、
搭乗するはずの飛行機に乗れなかったとします。
通常このような予約サイトの利用規約には、
”乗れなかった場合の損害は担保しない”という文言がありますが、
これが利用規約そのものが無かったらどうなりますでしょうか。

「その飛行機に乗って契約するはずだった商談が、飛行機に乗れなかった事により、
他社に契約されてしまった。本来契約していれば得られた利益を、
少なくても会社が存続するであろう50年間分、損害賠償として請求する。」

なんて主張も、「利用規約で定めてるでしょ」が言えないがために、
最悪、一つ一つ裁判で対応していくことになります。

これはサービス提供者にとって、たまったもではありません。
と言った具合に、”ルールがない状態”というのはサービス提供者にとって
非常にリスクがあるため、サービスやアプリには、「利用規約」はほぼ必須となります。

よく似た言葉で、「使用許諾」というものもありますが、
こちらは”知的財産保有者の権利の保護”が目的になります。

「このアプリは私のものだけど、こういう使い方なら使ってもいいよ」
というのを定めたものですね。
あくまで利用規約とは目的が違います。

利用規約の中には、取得した個人情報などの扱いがしれっと記載されていたりします。
”弊社のプロモーションに使います”、”弊社と業務委託する会社のマーケティングに”
”特に使うわけじゃないけど、中身は見てるよ”
などなど、「ちょっとそれ詳しく聞かせてよ」と言いたくなるような内容も
結構あったりしますので、自身が使うサービスの利用規約はいま一度
よく読んで、きちんと理解しておいたほうがいいですね。