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三菱電機の不正に関する調査報告書から見えるもの

  • 2022年6月3日

三菱電機の不正問題
件数にして148件、不正を行っていた拠点数が22拠点中18拠点という、
大きなスケールの不正となっています。

その三菱電機ですが、
当社品質不適切事案へのお詫びと対応について
というページをWEBサイトに掲載し、
その中で不正行為に対する現段階での調査報告書を公開しています。

この手のものって、不正が発覚したときは騒がれて注目されますが、
その後の調査結果や、再発防止などについては、
あまり報道で語られることはありません。

しかしこの調査報告書を見ることで、様々なことがわかります。
不正の原因はなんだったのか、
またその発生要因はなんだったのか、
再発防止への組織的アクションは?
などなど、ビジネスパーソンとして学ぶべき内容が多々あります。

今回の報告内容から興味深いポイントを挙げるとすれば、
・納期や予算に間に合わせるため必要な検査を怠っていた、もしくは数値を改ざんしていた
・報告したところで上司は動いてくれない(ミドルマネージメント層の脆弱性)
・言ったもん負け
という3点でしょうか。

不正の殆どが必要な検査を怠っていたり、数値を改ざんしたりという内容でした。
ではなぜ検査をしなかったのか?数値を改ざんしたのか?
”検査結果がNGだった場合のリカバリー期間がほぼ無い”
”検査の項目として存在するが、実性能に影響はない”
という要素のもと、
ちゃんと対応すると”当初予定していた納期に間に合わない”ため、不正を行っていた。
という内容が非常に多く見受けられました。

ちなみに今でこそ不正不正と言っていますが、
現場の人間には不正という認識ではなく、
”納期に間に合わせるための効率化”だったということ。
これは「現場優先の最適化」が行われた結果と言えるかもしれません。

また、これらの不正や仕組みの歪みを上司に報告しても、
「じゃあ、あなたがその件は対応してください」と
自分にそのまま丸投げで返球される。
皆が皆、ギリギリの工数の中で鍔迫り合いを行っている。
いかに自部署が、自分がやらないかが社内をうまく立ち回る
スキルとなっている。

でもよく考えると、これらの内容って、三菱電機に限らず、
いろんな会社でよく聞く内容ですよね。

そんな何処にでもある状況が、今回の不正につながっています。
三菱電機は単純に社員数が多いから不正件数が伸びたイメージです。

日本が長きにわたり組み上げてきた”働くシステム”が、
限界に達しているのでしょうか?
それとも、製品の価格に対して、
機能やサービス要求が異様に高すぎるのでしょうか?

こうすべき、ああすべきと言うのは簡単ですが、
なんだか崩壊前のビジネスモデルを見ているようで、
なんともいたたまれない気持ちになります。

時間があれば、この問題に対してどんな再発防止策を打ち出したのか、
クローズアップしていけたらと思います。
(研修増やすとか、全社一丸となってとか、
役員の意識向上だとか、そんなではないこを祈ります)