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「あいつはデキない」は

  • 2022年5月23日

「今度の新人できないわー」

と、こんな言葉を聞いたことはありますか?
おそらく一度は耳したことはあるのではないでしょうか。

何気ないこの言葉、実はいろいろとよくない要素を
はらんでいることが多いです。
ちょっと分解してみましょう。

・社内教育カリキュラムの乏しさ
・社内における自己優位性の確保
・外部と内部の分離による内輪集団意識

すくなくともこの3点が浮かび上がります。

まず”教育カリキュラムの乏しさ”について
面接などの評価過程を経て、入社してきたはずです。
その一定以上の素養の人材がアウトプットを出せない
ということは、社内の教育カリキュラムが乏しく、
一部の人にしか適応しない不完全な教育内容である可能性が高いです。
教育ではなく、選別要素が強いということですね。

次に”社内における自己優位性の確保”について
これは「自分はできるぞ」ということをアピールしたい人、
もしくはアピールが必要な人が行う行動です。
普通に考えると「新人と比べてなんになるの?」と思いますが、
意外と、この発言をする中堅社員は多いです。
この発言の裏には「自分だからこの仕事はうまくやれてる」
「もっと自分を評価してほしい」という心理が働いています。
自己アピールは必ずしも悪いことではありませんが、
”こんな事で自己優位性を表現しなければアピールの場所がない”
という当人、組織の問題も含まれています。

最後に”外部と内部の分離による内輪集団意識”ですが、
これが一番根深いかもしれません。
この要素を含んだ発言では、「いまこの場所にいる人はみんなできる人だけど、
ここにいない〇〇はできない」というような会話になります。
会社の飲み会なんかでよく聞きますね。
新入社員や中途入社、新しく着任した上長なども、この〇〇の対象に
されますね。

ソトとウチ、転じて敵と味方を明確に分けることで、
自分の安全圏を確保します。
ソトの人は自分達に危害を加えるかもしれないので、
全てにおいて警戒を怠らず、極力接点を少なくする。
鎖国みたいな感じでしょうか。
ウチの人は今まで敵でも味方でもなかったけど、
ソトの人が登場することによって明確な味方になる。
こう書くとよくマンガなんかである胸アツシーンに似てますね(笑)

しかし、実際は同じ組織で同じ目標に向かって進んでいく仲間のはずで、
こういった社内でのソトとウチは、情報伝達のスピードを遅らせ、
ただでさえ遅い組織の動きをより一層鈍重なものにします。

さて、ここで記事の表題を振り返って、
「あいつはデキない」のあとに言葉をつけくわえるとしたら、

”「あいつはデキない」は「俺ができない」”

「あいつはデキない」というセリフが頭に浮かんだら、
今一度、”そんなあいつのために自分ができることは何か?”
ということを考えてみましょう。