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ノンアルコールとバー 前編

今年に入って、ノンアルコールバーという言葉を聞く事が増えました。
実際にオープンしているお店もあり、アルコールの有無に関わらず多くの方がカクテルに触れる機会が増える事は業界にとって良い刺激になるのではと個人的には期待をしています。
しかしこのノンアルコール、バー業界では非常に意見の分かれる要素であり実際のところ未だ否定的な意見が多いというのが現状です。
今回は業界内から出るノンアルコールに対する意見と今後の可能性を見ていきたいと思います。

客単価の低下

まず最も多いノンアルコールに対する意見がこちらです。

バーでのカクテルの平均単価は都内であれば1杯1000円程度ですがノンアルコールカクテルの場合、経験上その店舗で最も安価なカクテルと同一価格に設定されている事が多いです。

価格に関してはある程度は店舗側でコントロールできますが、多くバーテンダーから声が上がるのは杯数が出ない事です。
アルコール飲料と違いお腹にも溜まりやすい為、バーに2時間滞在するとしても杯が進むのは喉が乾いている前提での1杯目までだと思われます。

2杯オーダーをしたと仮定してここである問題が発生してしまうのです。

1杯1000円で2杯(ノンアルコール)大抵のバーではチャージが発生します。

チャージに関しても都内では1000円の店舗が多い為1000円として、合計3000円。

税込みで3300円となりますがいかがでしょう?
バーの単価に慣れている私からしても、ノンアルコール飲料2杯で3300円はかなり高く感じます。

しかし店舗側はこれを単価が上がらないと考えてしまう場合があるのです。

顧客と店舗で価格の捉え方が大きく違ってしまう事はどちらにとってもデメリットしかなく、チリも積もれば結果としてノンアルコールカクテルの可能性を潰してしまいます。

店舗と顧客の認識のズレ

かなり正直に申しますと、ノンアルコール飲料の提供に消極的なバーはかなり多いです。
以前に連れられて訪れたバーにて隣に座られた方がオレンジジュースをオーダーされました、ところがバーテンダーの方の回答は「オレンジジュースは提供できません、メニューにあるノンアルコールカクテルをご注文ください」とのことでした。

オレンジジュースはダメでそれらを加えたノンアルコールカクテルは良い理由はと考えると多くの方が疑問に感じられると思います。
当時はともかく今ならSNS等で話題に上がってもおかしくない案件になる可能性を秘めています。

経験上おそらくその店舗ではそのルールを定めるに至るトラブルなどがあったのかもしれません。

過去、私が勤務していたバーで実際に起こった問題を箇条書きにしてみます。

  1. コーヒーを使うカクテルのためにコーヒーメーカーをキッチンに設置
  2. 常連の方がウイスキーと合わせてみたいとおっしゃりコーヒーのみを提供
  3. 後日常連の方が大勢でテーブル席に来店、お酒が飲めないおつれ様にコーヒーを提供
  4. さらに後日コーヒーを飲まれた方が大勢で来店、全員コーヒーをオーダーされる
  5. その方はかなりの頻度で店のピークタイムに来店され、仕事の打ち合わせをされている
  6. オーダーはもちろん全員コーヒー
  7. その姿を見た他の方が後日コーヒーのみをオーダーされる

上記の様な事が実際に発生し以後、コーヒーのみの提供をお断りする張り紙を店舗入り口に貼り出す事となり、該当するお客様からは「何がダメなんだ?」とかなり詰められました。

バーでコーヒー等のオーダーが多数を占めた場合、バーではなく重厚な喫茶店になってしまうのです。
あくまでもお酒を楽しむ場として存在してはいますが、提供するものを誤ればバーと喫茶店の境界が曖昧になってしまい結果店の存続に関わる事態に陥りかねません。

バーにおいてノンアルコールというものに消極的な雰囲気はこの要素が大きな理由となっているかもしれません。

今後の展開

飲食業において店舗側のクオリティやコストパフォーマンスの向上は責務ではありますが、顧客側の察する力も等しく必要な要素であると考えます。

バーにおけるノンアルコールの扱いは認識一つで大きく変化し、事業としてもかなりの可能性を秘めたジャンルであると思います。

後編はノンアルコールカクテルについて紹介していきたいと思います。

投稿者プロフィール

四ノ宮清十郎
四ノ宮清十郎
関西でバーテンダーの修行を開始。
技術と知識を身につけながら複数の新規店舗開業に携わる。
都内の飲食系企業にてバーテンダーとして勤務する傍らレストランやカフェ等異なる業態へのレシピ提供、従業員向け講習等にも従事。
2018年より地元関西へ戻り都内や関西にて飲食店コンサルタントとして活動中。